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根暗なマイハートのネジを巻け!

有効求人倍率の論点


有効求人倍率が高いというが、非正社員の求人を含めての話だ。正社員だけだと直近で0.67倍となっている。


有効求人倍率が高いが実感がないという声があると。理由は、正社員募集が少ない、建築が2.6倍、事務は0.3倍など業種の偏りがあるため。


もっというと、入職経路でハローワークの割合は2割程度で、多くは広告や縁故採用*1
だから、ハローワーク求人倍率のみで労働市場を語っていいのかという問題もある。


ただし、○○ナビ転職など、民間の職業紹介機関を経路とする入職は全体の2%で、2008年の就職件数は10万件、ハローワークの126万件よりずっと少ない。


さらには、ハローワークに求人を出すのは無料なので、ハローワークに求人を出す企業は、求人にお金をかける余裕のない企業であるというバイアスもかかっているとの指摘もある。


しかしながら、企業が紹介機関を通じずに広告や縁故から直接採用した分の「求人倍率」の把握は難いのだろう。
現時点では、ハローワーク求人倍率労働市場の代表指標となっている。


求人倍率を見るうえて、都道府県別の留意点がある。


「就業地別の求人数を用いた有効求人倍率」を厚生労働省が公表。⇔これまでの公表は、求人受理地別の有効求人倍率。本社所在地において、地方支社の求人も含めて一括して提出する場合もあり、東京都の求人倍率は、都内から出た求人では必ずしもなかった。
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就業地別で有効求人倍率(平成25年度 月平均)をみると、東京都は必ずしも高くなく、新潟県と同程度の1.05倍。東日本では、宮城県1.33倍、福島県1.48倍、岩手県1.12倍が高い。
関西では、愛知県1.34倍、三重県1.23倍、福井県1.36倍が高く、大阪0.88倍は少ない。
九州では熊本県佐賀県が高い。福岡県は0.81倍と低い。


なお、東京都は「受理地別」の有効求人倍率1.40倍で、「就業地別」1.05倍の差が、0.35倍と大きい。


ところで、人口が減ると有効求人倍率が上がるというトリックがある。
平成26年5月の有効求職者数(原数値、東京労働局受理地別)は 223,773 人(前年同月比 7.6%減)で、45 ヶ月連続で前年同月 を下回った。
専門家によれば、人口減少で求職者数が減るので、有効求人倍率は今後高くなるはずだという。
「有効求人倍率=有効求人数÷有効求職者数」の分母が減るからだ。


求人数は増えており、5月有効求人数(原数値)は 317,223 人(前年同月比 9.9%増)で、49 ヶ月連続で前年同月を上回った。


仮説として、労働者の定着率が低く、同じ企業が何回も求人を出している可能性がある。もしそうなら、職を失った労働者も求職するので、同じ人が何回も求職することで、求職者数も増えるような気がするけど、求職者数は減っている。分からない。


また、求人数は増えても、就職件数は減っているという実態も気になる。
就職件数は、12,973 件と、前年同月より 0.8%減となった。


求人充足数は 17,290 件と、前年同月よ り 3.4%減となった。


就職件数、求人充足数というゴールに結びつかない有効求人倍率、実のある求人は増えているのだろうか?求人のミスマッチがやはり大きいのか。




最後に、有効求人倍率は、景気動向指数の「一致指数」に採用されているうえ、経済の専門家からは「景気動向を知りたいときは、有効求人倍率をみる」とされているが、景気とは関係なく低下した事例がある。↓


2006年には、有効求人倍率が凄く高くて、真相は、カラ求人だった。求職者の個人情報を営業活動に使用する等の目的とした不適正事例もあった。
東京労働局、厚生労働省が適正化に動き、06年8月に87万人あった新規求人は、07年10月に9万人減となった(▲10%)
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2007/114nk/07-00104.html#co1-2

*1:入職経路に関する円グラフ リクルートワークス労働政策講義 第11 http://t.co/koYFuKyf6A