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根暗なマイハートのネジを巻け!

第4楽章〜指揮者tact3“指揮者のタイプ“

今日は、指揮者をタイプ別に分類する。
その方が、とっつき易いから。

1 速い指揮者、遅い指揮者
古楽器使用〜ピリオドアプローチ
3 作曲する指揮者
4 楽器演奏者出身
5 指揮者なし


1 速い揮者、遅い指揮者
 

指揮のテンポが速い・遅い指揮者
○速@い


○遅@い



演奏が早いといえば、クライバーの『ベートーベン交響曲第5番』が早かった。
しかし、カラヤンはもっと早くてトータルタイムが“29:52”、クライバーの“33:21”よりも3分29秒も早い。約10%増しのスピードだった。
繰り返しの省略という可能性もあり、そこまで分からないけれど、
ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番
カラヤンは速@い。


一方、チェリビダッケは若いときは速かったが、晩年は遅くなった。
チェリビダッケが振った『ドボルザーク交響曲第9番「新世界より」(ミュンヘン、METEOR)』を聴くと、遅いンだけどすごくいい。このくらい遅いと、楽譜を見ながら聴けるかも。


朝比奈隆も遅く、ブルックナーに定評がある。
さて、ブラームスを初めて彼の演奏で聴いたとき、遅くてブラームスが嫌いになりそうになったけれど、ある程度他の指揮者で聴き込んでから、朝比奈隆に戻ると「一生聴ける」から不思議である。


演奏が遅い指揮者は諸刃の剣のようなもので、逆に刺激が強いのかもしれない。初めてヘヴィメタル(遅くて重い!)を聴いたときの、「もういい」という感覚に近い。慣れれば好きになれるという意味で。




◆memo おしゃれで気品〜アンドレ・クリュイタンス


ラヴェル:管弦楽曲集第1集
ベルギーの名指揮者で、パリ音楽院管弦楽団を率い、フランス音楽を象徴するような存在。


「おしゃれで気品がある」というタイプの指揮者。




古楽器使用〜ピリオドアプローチ

 らが有名。


ピリオドアプローチとは、その音楽が作られた時代の楽器や演奏法により演奏するスタイル。


○主な古楽器
チェンバロ


ヴィオラ・ダ・ガンバ


リュート


○主な演奏法
ビブラートをかけないで弾いたり、弦楽器にガット弦(羊などの腸で作った細い紐)を用いるなどの演奏法。


フランス・ブリュッヘンは、各国の古楽の専門家たちと“18世紀オーケストラ”を結成し、18世紀の音楽を当時の楽器による演奏で再現している。
ベートーベンの『第九』を演奏するときは、音量の劣るガット弦を補強するため弦楽器の数を増強して取り組んだ。
増強にあたっては、コンセルトヘボウ管弦楽団のモダン・ヴァイオリン奏者を招き、E弦を金属弦からガット弦に張替え、ビッチをやや低めのA=430Hzに調弦して、18世紀オーケストラと一緒に演奏したという。
今、その演奏をオーディオで聴きながら書いている。*1正直、違いが分かるほどの耳を持ち合わせていないのが残念なのだが、響きがバロックっぽい。音によるテンションのかかり方が少なく、端正で開放的に聴こえる。


現在、NHK-BS2で放送している『ぴあのピア』でも、チェンバロフォルテピアノなどを用いた演奏を聴くことができるが、モダン・ピアノと比べると、やはり「端正」としかいいようがない感じ。
逆に、現代オーケストラの演奏は、高めのピッチ、ビブラートなど装飾的効果をねらった演奏法によって多少、化粧が濃くなっているのかもしれない。


古楽派のノリントンは言う。
「今日のオーケストラは、形(shape)ではなく音(sound)に依拠する傾向があります。グラマーな化粧を削ぎ落としたら、オーケストラのサウンドは多くの点で得るものがあります。テクスチュアは透明になり、まさにサウンドの内部を聴くことができます。不協和音はよりシリアスで辛辣なものとなります。」


◆memo パイプオルガン



パイプオルガンも古楽器といっていいかもしれない。
サンサーンスの『交響曲第3番「オルガン付き」』第2楽章第2部での、パイプオルガンの第一声は迫力満点。
2ちゃんねるで言えば、


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!


パイプオルガンを背にして立ち臨む者は、誰でも独裁者になれる・・・


3 作曲する指揮者
○作曲家が指揮者を兼ねる場合


○演奏や作曲で見込みがないといわれたので指揮者になった?
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー


○合唱指揮者
合唱曲中心に作曲している者が合唱団を指揮する。
なお「合唱指揮者になった日本人作曲家」には、合唱団を自ら創設した大中恩荻久保和明松下耕や、東京男声合唱団の指揮者になった清水脩、石井歓、佐藤眞などがいる(ウィキペディアの受け売り)。



◆memo ウェストサイドストーリー


ウェスト・サイド・ストーリー
バーンスタイン作曲。
これは史上最強のサウンドトラックと言っていいのではないだろうか。*2


♪チャラーララーラーの『プロローグ』から『マンボ』、『マリア』、『トゥナイト』、『アメリカ』、『Somewhere』など、ポップでファンキーで、バラードありの名曲づくしで、寡聞にも私はこれらの曲が、バーンスタインというクラシック界の音楽家から飛び出してきたものとは知らなかった。


聴き所のひとつは『アメリカ』、曲も歌い方も楽しいから。
しかし、曲の冒頭から第一主題?に入らず、会話が続くので「あの曲どれだっけ〜」と飛ばし聴きしていると見落としてしまう。これは他の曲にも言える。
『Somewhere』も聴かせる。この曲の旋律がミュージカル全編を通じてたびたび出てくる。これは、アンジェラ・アキが『サクラ色』のなかで“♪ふーるーさーとー”と、自分の曲を引用してしまっているのと同じようなものだ。


それと、このアルバムのオーケストラとコーラスは、ブロードウェイ内外の一流ミュージシャンに集まってもらって作られた。通常のオーケストラでは出せないミュージカルの魅力を引き出すためと思われる。
ソロは一流のオペラ歌手を起用し、バーンスタイン自らがタクトを振った渾身の一枚である。*3



4 楽器演奏者出身
もと演奏者で、指揮者に転向した例を調べてみた。
ピアノとヴァイオリン出身者が多い。
ソリストとして有名になってから転向する例もある。


○ピアノ
ウラジミール・アシュケナージ
クリストフ・エッシェンバッハ
ダニエル・バレンボイム
チョン・ミュンフン


○ヴァイオリン
シャンド・ル・ヴェーグ
ピエール・モントゥー
フランツ・コンヴィチェニー
ベルナルト・ハイティンク
ユージン・オーマンディ


ヴィオラ
シャルル・デュトワ
ヘルマン・シェルヒン


○チェロ
齋藤秀雄
ジョン・バルビローリ
ニコラウス・アーノンクール
パブロ・カザルス


○リコーダー
フランス・ブリュッヘン


オーボエ
エド・デ・ワールト
チャールズ・マッケラス


○ティンパニ
岩城宏之




◆memo結婚相手がソリスト


★シャルル・デュトワマルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
N響常任指揮者で親日家のデュトワは、世界屈指のピアニストであるアルゲリッチと結婚。
しかし、日本公演での夫婦喧嘩を原因に離婚。デュトワは3度の結婚と3度の離婚を経験。


ダニエル・バレンボイムジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
バレンボイムは、チェロの天才少女デュ・プレと結婚。
しかし、デュ・プレが多発性脳脊髄硬化症 (MS) を発病し42歳で死去。バレンボイムはピアニストのエレーナ・バシュキロワと再婚。


小澤征爾&江戸京子(ピアノ)
小澤征爾の最初の妻はピアニストの江戸京子*4。離婚後、女優でデザイナーの入江美樹と再婚。



5 指揮者なし
雰囲気出している文章をみつけたので思わず転載、お許しを。

オルフェウス管弦楽団という室内楽団があります
とっても上手な人達ばかりで編成されていて指揮者を置かないことでも有名
取り上げる曲毎に解釈をする人を決めてそれに沿って演奏しています
そのConcertで思ったのは「やっぱり指揮者さんいないと〜」って
演奏はとても揃っていて良かったけど・・・
塩を入れなかったときのおはぎみたい・・それでもいいんだけど・・の感じ
水戸室内管弦楽団の指揮者さんなしでもそう思いました(ここも上手な人ばかり)
Orchestraからすると邪魔かもしれない指揮者さんはやっぱり大事
(ミーハーClassicのお話http://www.yumiko.com/classic0.html



以上、私基準で指揮者をタイプ別に分類した。何かの参考にしようと思う。


ちなみに、
音楽以外の大学に通っていた指揮者として、
(哲学)
朝比奈隆ハンス・クナッパーツブッシュ、ペーター・マーク、ヤッシャ・ホーレンシュタイン
(医学)
ジュフリー・テイト
がいる。


哲学的な音楽もありますもん。ブルックナーなどは天の声なのか!という気分になる。


◆memo 女性指揮者
指揮者は男性が多い。
オーケストラを指揮する女性はほとんど皆無に等しいようだ。
日本で有名な女性指揮者に西本智美さんがいる。


女性指揮者を探すために“女性指揮者”をキーワードにWeb検索した。
西本智美さん、新田ユリさん、松尾葉子さんがヒットした。
それ以外は、女性指揮者の会という合唱指揮者のホームページが見つかった。合唱指揮者は学校などに多く存在していると想像する。


がんばって、「female conductor」で検索してみたけれどピンとくるものが見つからなかった。
ただ、あるページで“Xian Zhang, made her début guest conducting appearance with the Auckland Philharmonia”というのが見つかったので、どうやらオークランドの楽団で、ザイアン・チャン(Xian Zhang)という女性が指揮をしたらしいことは分かった。
そのくらいで挫折。


<参考文献>
名指揮者120人のコレを聴け!―指揮者別・クラシック名盤&裏名盤ガイド (洋泉社MOOK)
ベートーヴェン:交響曲第9番のライナーノーツ
http://www.kanzaki.com/norrington/
http://www.aucklandphil.co.nz/index.php?pi_pageid=203




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ひとりクラシックアワーシリーズもこれで終わり。


2006年11月26日から、足掛け4ヶ月である。
長年気になっていたことを、この機会に調べることができた。
ワードで書いた下書きが、文字数にして400字詰原稿用紙150枚に達していたのには驚いた。



前  奏 出会い(id:horikita800:20061126)
第1楽章 聴き比べ1(id:horikita800:20061127)
第2楽章 一生聴ける1(id:horikita800:20061209)
     一生聴ける2(id:horikita800:20061211)
     一生聴ける3(id:horikita800:20061221)
第3楽章 モーツァルト(id:horikita800:20061228)
第4楽章 指揮者1(id:horikita800:20070217)
     指揮者2(id:horikita800:20070305)
     指揮者3(id:horikita800:20070325)


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*1:id:horikita800:20061126に掲載

*2:バーンスタイン以外で、お気に入りのサウンドトラックは『ムーラン・ルージュ(2001年)』

*3:バーンスタインが指揮をしての演奏は、この録音が初めてだった。『ウェストサイドストーリー』は、ブロードウェイで成功していたが、バーンスタイン本人が指揮をすることはなかったため。

*4:現在、アリオン音楽財団理事長であり、国際ピアノコンクールの審査員も務める