I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

葉隠その4


「写し紅粉を懐中したるがよし、自然の時に、酔覚めか寝起きなどは顔の色悪しき事あり、かような時、紅粉を出し、引きたるがよきなり(葉隠)」



(以下、三島由紀夫葉隠入門』の解説)


一見、女風になって衣装の吟味ばかりしている青年の姿と通ずるかのようであるが、葉隠がいう写し紅粉ほど、このような考えから遠いものはない。


男は死んでも桜色。切腹の前には死んでも生気を失わないように、頬に紅をひき、唇に紅をひく作法があった。そのように敵に対して恥じない道徳は、死のあとまでも自分を美しく装い、自分を生気あるようにみせるたしなみを必要とする。


まして生きているうちには、二日酔いの青ざめた顔はたとえ紅の粉を引いてもそれを隠しおおさなければならない。外面の哲学が、美の哲学と結びつくキーポイントが提示される葉隠の世界である。


外面の哲学とは、すなわち美しいものは強くいきいきと、エネルギーにあふれていなければならない、道徳的であることは美しくなければならないということ。


人間の心は言葉で占うほかない。もし臆病に類する表現があれば、彼の心も臆病になり、人から臆病と見られることは、彼が臆病になることである。もし内心があると信じるならば、その内心を守るために言行のはしばしにまで気をつけなくてはならない。言行のはしばしに気をつけることによって、かつてなかった内心の情熱、新しい内心の果実が、思いがけず豊富に実ってくることもあるのである。



(以下、horikita800の感想)


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レイジング・ブル 主人公が試合直前に鏡の前で自らに語りかける。その場面と「葉隠」の武士道がシンクロしているというのが私の感動であり感想である。