- 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
- 発売日: 2001/06/21
- メディア: DVD
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Sub ネタバレあり( )
If Dancer in the Dark = dark
医者も弁護士もお金がなければ助けてくれない。最後まで一緒にいた友人もお金をくれるわけではない。過酷な人生は自力で救済を求めるしか道はない。
Else Dancer in the Dark = light
日本には社会保障制度がある。重度障害者医療制度があり、主人公は生活保護や医療補助によって救われる。(ただし現行の社会保障制度はなんらかの改善がなされない限り少子高齢社会の進行により破綻する)
日本には公正な裁判制度がある。(検察の信頼は揺らいでいるが)適切な主張がなされたならば最悪の結末を逃れる可能性がある。
本作品は上記の前提が未整備な国家においては、その社会体制を風刺する意味を持つ。ただし、日本においても国民が不断の関心を持たなければ、社会保障や公正な裁判制度が今後も続くとは限らない。
主人公は「この世界に見るべきものがあるの?」と問う。
人間は自分の考え方・思い込みという呪縛の中で生きている。これを心理学的にスキーマという。
主人公が徹底的に世間をドライに見て、息子の視力の回復のみを追求したこと。それは強い。
本作品を吟味するに、お菓子箱をビルの家からもらったものであること、ビルが遺産を銀行口座ではなく貸金庫に保管していたことなどから、残念ながらビルの指紋や預金口座からビルの行動を証明することは困難だという作りになっている。
だから、下手をすればなけなしの2000余ドルを主人公が盗んだと裁判で認定される可能性は否定できず、主人公の判断が手術費を確保するという目的に照らしてみれば最善だったのかもしれない。
しかし、手だてはあったのではないか。弁護士が報酬は分割払いなどで引受けてくれたかもしれない。治療費の方を分割払いにできたかもしれない。(なんで周囲の友人はカンパしてくれないのかと思う…まあそういう自分も例えばアフリカの難民に何の送金もしていないから同類なのだが…)
そして、金銭面では一切当てにならないものの、その他の手助けを惜しまない周囲の友人を、もっと頼っていいんだよ、と言いたい。
さらに、自分の問題に置き換えたときには、自分も周囲をヘルプ出来ると思うし、それはお互い様だと信じる、根拠はないけどそういう気持ちが私の心に芽生えたのである。
最後に、貧困や人権問題に対して、無関心ではいけないと思った。
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