I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

橋本雅邦


落語家の桂三枝は、創作落語を作る際にリアリティを重視するという。
小説家の有川浩は、徹底的に調査された実在の世界にファンタジーを起こす。


現実の描写が確かであるから、想像の世界に人は飛べる。




橋本雅邦「林間残照図」
http://sbs-bunkafukushi.com/museum2/2011/03/post-2.html
駿府博物館所蔵品)
http://sbs-bunkafukushi.com/museum2/2011/03/post-2.html

本作品は、手前に流れる水の流れを、伝統的な日本画の筆力(線)で描き、西洋絵画に通ずる色の濃淡で森林を書き分け、さらに西洋絵画の空気遠
近法により奥行きを表した。


当時、朦朧体とよばれ「だらだら」としてしまった日本画壇に道筋を与えた。


(KIRIN『美の巨人たちテレビ東京

たしかに、線による具体的な描写と、濃淡で描く風景のコントラストが効いている。
現実的で確かな川の流れがあるから、山河全体が引き締まり、観る者はそこから自由に想像を広げ、余白に広がる景観や、自然の息づかいを感じることが出来る。