I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

先生の話

教師に対する視線が厳しい時代。私が出会った先生の、いい意味で“想定外”の話を集めた。


1 人生ってそういうもんだよ
中学1年の担任は、大学卒業したての女性の先生だった。
(その1)
文化祭で合唱があり、学年ごとに各クラスが競いあう形となったが、我がクラスは全然やる気がなく、他のクラスが昼休み時間に練習を行うなど活発であるのに比べ、冷えたムードが漂っていた。
思い出すのは、全然声が出ていない練習中に先生が、「実は、大学時代に合唱部だった」と経験を披露してくれたこと。そして泣いたこと。そして優勝したらケーキをおごってくれる約束をしてくれたこと。その後、クラスが燃えたこと。結果2位になったこと。カスタードケーキをクラス全員にごちそうしてくれたこと。そして、女子が「もっと高いケーキがよかった」と文句を言ったこと。そしたら先生が「じゃあ食べなくていい」と逆切れしたこと。


(その2)
掃除の時間に、男子がさぼっていたところを先生が注意した。男子が「たまたま今、手を休めていただけなのに怒られるのは心外だ」という意味の反論をしたところ、先生が「人生ってそういうもんだよ」と言った。



2 体育で5
中学2年の体育の先生は日本体育大学出身の熱血ラガーマンだった。
私は、運動神経がそれほど良くないので、体育で5*1をとることはそれまでなかったのだが、その熱血ラガーマンは“5”をくれた。これは、ある先生から間接的に聞いた話。
ある先生が、私が体育で5を取ったことについて「この生徒が5をとるのは珍しい、なぜか」と熱血ラガーマンに尋ねたところ、「この生徒は、体力測定の自分の記録を全部覚えていた。とてもまじめに取り組んでいるから」と答えたらしい。


3 先生が返してくれた
中学2年の技術の先生は、村上ファンドみたいなルックスの先生だった。
教科書を無くした私は、先生にそのことを言えず2週間程度、ツッパリの生徒から借りてしのいでいた。*2
ある日先生から、「お前、教科書どうしたんだ?」と訊かれ、私の頭の中は、①教科書を無くしたことの後ろめたさ、②他の生徒から教科書を借りっぱなしの後ろめたさ、③なぜ先生は、教科書の件に気付いたのかという疑問、④「先生は見てくれていたんだ」という尊敬の気持ち、が駆け巡った。
先生曰く、「教科書は先生が持っているぞ、お前がどうするか様子を見ていたんだよ。
この先生のことは今でも気に入らない。


4 批判精神
高校の日本史の授業で、感想ノートを生徒に書かせる先生がいた。感想ノートはクラスに1冊で、各授業ごとに生徒1人が記入して先生に提出し、次の授業では次の順番の生徒が記入して先生に提出するという順番制になっていた。先生は、とくに感想についてコメントすることはなかった。
私の順番のとき、次の授業で珍しく先生がコメントした。
「この生徒は、先生が言ったことに対して自分の意見を書いてきた。このように批判精神を持って授業を受けることは良いことです。」*3


5 3つの教え
部活の顧問がある日、メンバーを招集して言った3つの言葉。

  1. ひとを馬鹿にするな
  2. 後頭部をたたくな
  3. 頭にきたら5つ数えろ


なんか、別れの挨拶みたいでおかしいと感じていたら、
翌日、その先生の名前が「公職選挙法違反で逮捕」と新聞に載った。

でも、その3つの教えは今も守っている。



以上、記憶に残る言葉とは、ささいなものである。


さて、いじめによる自殺、必修漏れ問題、学級崩壊など学校をめぐるマイナスの話題が溢れている。
学校の隠蔽体質は気になるが、マスコミの過剰報道による連鎖反応と感じる面もあり、多感な時期の人間を相手にする教師とは大変な職業だと思う。

*1:5段階評価の最高

*2:その生徒は、「俺は授業に出ないから使ってくれ」と、気前がよかった

*3:期せずして、先生のねらいどおりの感想を書いてしまい、クラスで浮く感じ、多感な時期には寒い。先生に罪はない。