I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

バーバー

お盆休み。昔、母が床屋をしていた場所を車で通りかかった。
そこはもう別のお店になっていた。

しばらくして母が、私に「髪が伸びているなあ」と言ってきた。
正直伸びていなかったのだが。


母は認知症
子どもの頃は、母に髪を切ってもらっていた。

もしかしたら、子どもの髪を久しぶりに切ってみる気になっていたのかもしれない。
母は、父の髪を今でも切っているみたいなので、「髪を切ってよ」と応えればよかったのかも。

母も疲れるだろうからと気を遣い、喉まででかかった「髪を切ってよ」の言葉を押し戻し、「一緒に餃子をつくろう」と、話を変えた。

でも、もし髪を切ってもらっていれば、母との貴重な思い出が出来たかもしれなかったし、母にとってもよいリハビリになったかもしれない。
また、母の好意を断ったのが残念だし、母が母を完全に取り戻す機会を逃がしたような気がしてならない。