I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

お金はどこに消えるか?


日銀の金融緩和と財政出動はもう20年近くやっており、事実上ゼロ金利だし、公共事業社会保障などの政府支出は一般会計と特別会計を合わせて230兆円を数える。
財務省平成24年度予算補足資料http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/sy014_24_02.pdf


しかし、うまくいっているという話は聞かない。なぜか。
お金はどこに行ってしまうのか考え「衰退産業の非効率」と、「グローバル化による海外流出」と結論づけた。
以下、長文。


日本は国内総生産が先進国では2位だが、人口も先進国では米国、ロシアに次いで3位だ。国内総生産が大きいのは人口が多いから当たり前であり、小さくてキラリと光る国だからではない。一人当たりで割返すと世界で14位に落ちてしまう。非効率が国内にある。もっと出来る子のはず。


日本は人口が多く、民間消費と設備投資が多い経済大国。この十数年でドル/円が110円から75円まで3割も上がったのに物価が3%程度しか下がらなかったのはデフレというより「非効率産業の存置」
国内景気の低迷による雇用不安や、財政出動の回収(税金)不能による財政悪化をまねいた。


1995年発売「超円高サバイバル読本」(三菱総研 佐藤公久著)に遡れば、具体的に規制改革が必要な分野とは、輸入における小麦など食料分野の政府統制・関税、JIS規格の見直し、たばこなど小売り統制、生産性が低く割高な「建設」「金融関係」「運輸・通信」「電力・ガス」


タクシー、トラック、航空、通信、電気、金融、米穀の事業分野における考察ー2009年「経済分野における規制改革の影響と対策(国会図書館)」http://t.co/qhEfUJQW


近年では、規制緩和の動きは、近年では、教育、福祉、医療、環境に広がりをみせるが、業界の抵抗が強く規制緩和が進んでいないと本日の日経社説が指摘していた。


まず内部留保。企業の内部留保が本日の日経紙面でも300兆円に達する勢いで積上っていると書かれていた。
ただし、内部留保がすべて現金というわけではなく、前払金、出資金、貸倒引当金などの使途が資産として計上されており、さらには建物、機械、在庫品などの資産価値が含まれている。
労働総研によれば、有価証券が多くなっているとするが、私はこう思う。

衰退産業が抱える内部留保は「儲け」ではなく、売れ残った在庫や老朽化した設備や返済の見込みの無い出資金など「塩漬けの資産」が多いのではないかとにらんでいる。


次に、グローバル化。日経「大機小機」で公共事業を増やしても、輸入に依存する今となっては、仕入れ部材を海外から輸入した段階で資金が国外流出する。つまり公共事業が国内に経済波及効果を持たないと論じた。
私は、円安で輸入部材の割安感が薄れ国内回帰の報道もあるため、一概には言えないと思う。ただし、グローバル化した今となっては、高度成長期にほとんどの製品・サービスが国内で調達されていた時代の経済モデルは古くて使いものにならず、政府支出は輸入部材の調達や海外現地生産の流れから資金の多くが国外に流出してしまう懸念は否定できない。


労働力が安価な海外製品との競合は、デフレというよりは単に安く買えるということであり、問題は国内産業が輸入品に負け、もしくは政府保護により延命されていることを意味する。


図式すると、競争力が弱く外国製品に負けちゃう→儲からない→人が雇えない→補助金(税金)や融資→規制や政府統制で保護→死に体で延命→財政悪化と不良債権化→今ココ→?


金融面でみても、日米の政策金利が0%〜に比して、露・中・印の5%越えなどの現状を見るに、日銀が量的緩和をしたときにその資金は国内に投資されず、日本でお金を借りて、途上国の企業に貸すという越境が多く起こるのではないかと想像出来る。
外務省資料→http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/keizai.html


まとめると、円は直接に衰退産業の不良資産として積上るか、直接に海外に流出するかして、間接的に国内に波及効果をもたなくなっている。
さらに、昨今の貿易赤字により円はますます出て行く一方であり、エネルギー輸入などでドル決済が増えれば円安に振れるのが現在の状況だと考えている。


日本に好材料がないのに、株価が上がる現状が不可思議であるが、それは東京証券取引所で取引する外国人の存在感(委託取引の5割*1)に理由があると推測する。すなわち、外国人の立場からドルを基本に見ると、円安が進むのを手をこまぬいていると、円建ての株価が一緒でもドル換算で目減りする。

(例)
 一株75000円(75円/ドル)=1000ドル
 一株75000円(95円/ドル)=790ドル
一株95000円(95円/ドル)=1000ドル

だから、株式保有外国人は株を売りたいし、新規外国人は円安ドル高により額面多く株を買えるようになる。
1000ドルで75000円株が買えたのが、円安により1000ドルで95000円株が買えるということ。


こう考えると、為替相場が株式相場に反映しているだけと現状を読むことができる。
要するに、円も株も売られている。一ドルが75円から95円になると円”安”になるのと同じに、株が9000円から11000円になったのはドル目線からみた株”安”の要素が多分に含まれる。

円も株も外国人に売りを浴びせかけられていると見るのが正しい。


では、どうするか。
国内産業の非効率に大しては、資金を滞留させないこと、円安輸入製品に負けないことを主眼に衰退産業の退場と産業移転・新規参入の促進を進める。企業・調達の国内回帰・立地支援をアシストするのも手だ。
(物価が上がれば、不良資産価格も上がり損切り売却に踏み切れる余地が出るし、借金も目減りするので負の資産を貸借対照表から一掃し衰退企業を清算することが出来るかもしれない、政府のねらいはココかもしれない)


経済のグローバル化に対しては、国際的な資金循環を吟味し、邦人が海外で上げた利益が国内に還流するしかけや、株高を安定軌道に乗せるため実体経済に即した株価となるような市場監視や、国内投資税制など資金を国内に向ける誘因策、外国人投資家に対するディスクロージャーの充実など海外からの投資を一層呼び込む投資家対策が考えられる。


この両輪が伴わないと、国内投資はザルに入れた水のごとしである。
経済指標の動きをはき違えて行動し、失敗するのだけはごめんである。