I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

アメリカとアジアには貿易黒字、ファクトです。

1.財務省の貿易統計をみたら、日本は対世界貿易では貿易赤字だが、国単位でみると対アメリカでは黒字、アメリカからの輸入の倍返しで輸出している。対アジアも中国以外の韓国、台湾、シンガポールなどには黒字。欧米は国ごとに赤字だったり黒字だったり、中東の石油が貿易大赤字、これが大きい。

財務省「貿易統計」
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/


2.これに2つ思ったのは、一、貿易赤字で日本の産業が弱いみたいに言われるけど、中東の石油国と中国を除けば貿易で「大負け」していない。輸出量が増えていないことを捉えて力が弱まったとする考えもある。そうだ。「貿易赤字」で思考停止するのではなく、輸出量と輸入量を国、品目ごとに見ようと。


3.日本企業の海外現地法人が各国にあり、貿易統計の中にも国内の親会社から海外の子会社に輸出の形で国際移転するケースがある。アジアの子会社が作った部品を国内本社に移転(輸入)もある。
経産省の海外事業活動基本調査では、グローバル企業の輸出入額の半分以上が子会社との取引だったりする。


4.輸出入が増えて喜んだら、それが工場の海外移転の結果だったという側面もあるから、企業の国際的な財の移動を正しく踏まえないと、輸出量、輸入量の増減を評価できない。あるメーカーが部品を輸出し、海外で付加価値を高めて、国内に輸入したら、輸入額の方が増えるがそのメーカーは儲かっている。


5.対アジアは貿易黒字という事実。アジアから安い物が大量に入って来ているけど、日本の製品の方がアジアに多く出ている。少しホッとした。対アジアは円建てで取引されているからドルに対する円高円安は関係ない。アジアは円を欲しがるから円高になる。対アメリカも貿易黒字だからドルより円が強い。


6.これだけエネルギー輸入で貿易赤字なのに、円安に振り切れない理由は、対米国、対アジア貿易で黒字という理由があり、まだまだ円は強いのではないかと思った。たしかに今は円「安」と言われるが、2008年の頃は、昨今の為替水準で円「高」と言われてた。「急激」な変動は困るが、甘受すべきだろう


7.円安のJカーブ効果が来ると言った、内閣府ご意見番の浜田氏に「いつ来るんですか、全然来ないじゃないですか」と切り返した藻谷氏に拍手を送った私だったし、「Jカーブが来ない、なぜなら貿易赤字、海外生産が増えてる」とする新聞もあったが、品目ごとに細かくみたら、Jカーブ来てるのかも?


8.日銀の金融緩和、どうせ政府が借金して補正予算組む。自民党が調子こくお膳立て。日銀しか国債を買わないんだ。アメリカがドル刷るのを止めて、日本が円刷るのを増やしたら円安になる。円安による物価高誘導残念。都庁も外貨建て都債を発行した。国内銀行が国・自治体の発行債買わないサインだ。


9.せっかく、円が強さを保ってるのに、通貨政策で円安に振れさせることが日本経済にどのようなダメージを残すのか。運輸業、卸小売、サービス業など円安による燃料や、仕入値、材料費等の値上がりによる「円安」倒産が増えている。*1
日本の事業所や従業者数の大半は、これら非製造業で働いている。産業のサービス産業化が先進国では進んでおり、日本も例外ではない。製造業を優遇するような円高策は、このような産業構造の転換を阻害するのではないのか。

*1:東京商工リサーチ:「円安」関連倒産 前年同期より2.4倍に急増
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20141008_6.html