最近、村上春樹の本を読んでいる。
以下、ノルウェイの森の感想を書く。
読むのは2回目で、
1回目は、上巻最後、草原での主人公と直子の
エッチな場面で、読む気がなくなって止めた。
2回目は、最後まで読んだ。
基本的な人間関係を自分なりに解釈すると、
①主人公と緑の間には恋愛関係が成立。
②主人公と直子の間には、キズキの死を通じた喪失感の共有のみ。
③主人公とレイコの間には、直子の死を通じた喪失感の共有のみ。
の3つだ。
②は、一見恋愛関係に見えて実際は違う。
直子は、主人公との交流を通じて「まだ生きている」ことを確認しているだけ。
主人公は直子を愛していると思っているが、それは恋愛というよりは責任感のようなもの。
つまり、お互いキズキという亡き友の向こう側にしか相手を見ていない。
ストーリーは、主人公が①と②の間で迷い悩み、①を選ぶことに罪悪感を抱くが、
直子の他界後、②と③は同質なものと気持ちを整理して、①に落ち着くという話だ。
ただ、②には死んだ親友への思いなど複雑な感情が混じっており、主人公としては、整理するのが大変困難だった。
いみじくもレイコが
あなたがもし直子の死に対して何か痛みのようなものを感じるのなら、あなたはその痛みを残りの人生をとおしてずっと感じつづけなさい。そこから何かを学べるものなら、そこから何かを学びなさい。でもそれとは別に緑さんと二人で幸せになりなさい。
そして、
辛いだろうけど強くなりなさい。
と言っている。
このセリフが、一番印象に残った。
ミスチルだって
癒える事ない痛みなら いっそ引き連れて♪
と歌っているのだ。
こうして生きていくというのが、人間の強さなのだ。
村上春樹作品というと「喪失感」ばかりがイメージされるが、「生きていくこと」に対してとても強いメッセージを感じたというのが感想だ。
2回目、読んでみてよかった。