I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

答えはDeny

NHK『ブラタモリ』を観ていて、江戸時代には「国家普請」という、地方大名に公共事業をやらせる仕組みがあったことを知った。


租税ではなく、現物(請負)を支給させるという考えにヒントを得て、現代日本でも、税金をやめて、地方自治体に国の事業をまかせることを思いついた。
要するに、国税をやめて、地方税だけにし、代わりに地方が分担して国に関することを行う。


この考えは道州制にも通じ、地方が独自に法人税などの税率を定め、地方の安価な物価・地価・賃金とあわせれば、企業の地方進出を促進し、雇用も増え地域が活性化するのではと考えた。


すなわち、ブラジル、ロシア、カンボジア、アフリカ諸国が経済発展しているのは、何もないからそこにインフラ整備の需要が発生し国際的な投資が集まるからだと考えるのだ。


しかし、やはり無理だと思った。安い物価・地価・賃金といっても、新興国のそれと比べたらやはり高いのであって、国際的に競争力をもって投資を呼び込むほどのインセンティブはないだろう。


それでも、日本に立地することで、1億3千万人という世界10位、ドイツの1.5倍、イギリス・フランスの2倍の消費が期待できる。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm#h2-04
さらに、日本の厳しい消費者を一種のモニターとして、国際競争力のある製品・サービスづくりを図るメリットがある。


このように考えても、海外企業の誘致が地域の雇用を大きく増やすことはないかもしれない。日本に研究開発型の企業がくることはあるが、それは国内の多くの雇用を生むことは少ないだろう。
工場誘致については、蕎麦屋の出前のような近いことが売りになる製品だったらあるかもしれないが、多くはアジアの新興国に立地することを選ぶだろう。


もう一つ、日本の許認可制度が海外には分かりにくく、複雑ということもあるかもしれない。そこは、現在でも各地方自治体がいろいろ努力している。


地域の独自制が高まったとして、おそらく、今勝っている地域のほうが、より法人税を引き下げたり、インセンティブを与える余力があり、勝ちを大きくしていくだろう。


というわけで、企業誘致について、日本のバリアとして、高い賃金、物価、地価、法人税、特許、面倒な許認可など考えてきたが、どれも費用対効果がみられない。
あえて議論のため、特許制度をフリーにして、どんどん国内で模倣品をつくってくださいという奇策を考えてみても、安い模倣品が出まわることは、パイの奪い合いであり、全体の底上げにはならない。
企業の研究開発投資を削ぐと言う意味でもダメ。
なお、TTP参加で国内の規制緩和が進むと、環境配慮基準だとか製品安全基準だとかの緩和だとかが進むことは、製品開発の必要性を削ぐことになるので、もしかすると特許制度をフリーにするのと本質的には同じかもしれず、注視が必要と考える。


次に、都市人口を地方に移転させることを考えた。
地方に人が増えれば、地域が活性化すると思うからだ。


しかし、根本的に地方の課題とは、地方のその地方といった場所の、ガソリンスタンドがないとか郵便局も銀行もないという地域の話であって、地方都市の人口が増えるというレベルでは全然胸を張れない。


そもそも、日本の人口全体が減少傾向にあり、地方に移住政策をとっても、せいぜい自然減少分を補う程度で現状維持ってところだろう。


それでも、地方移住策を考えた。
都市生活税を創設し、都市住人の負担を大きくする。
もともと高い地価と物価を払ってまで都市に住みたいという人に、都市インフラの応分の負担を求めたって悪くはないだろう。
そして、地方生活交付金の創設。
子ども手当てみたいに、一律に地方に住んでいる人にお金を配る。
そうすれば、地方にみな住むようになるだろう。


しかし、それは結局、住民票は地方に置いて、都市で生活をするという抜け道があり、うまくはいかない。
前述のとおり、地方に移住するといっても地方都市の人口が増えるレベルでは、過疎化の対策にはならない。


逆に全国一律のサービスが、地方移住を促すか検討した。
年金支給に地域差がなくて、そうすると自然に物価の安い地方に人口が移動すると思うんだけど、そうなっているという話を聞かない。
持ち家があれば、それを売ってまで地方に引っ越すということにならないからだろうか。
では、生活保護は、地域の家賃相場で受給額が変わるが、これを一律にしたらどうか。そして、国3/4,地方1/4の負担割合の地方をやめて、全部国負担するとどうかと考えた。
そうすれば、生活保護のたらい回しで、財政力の比較的に高い都市に生活保護が偏るということもなくなるのでは。
生活保護者は安定した「収入」があるから、地方にとってお客さんだと。
でも、医療費やいろいろな意味で、地方がウエルカム!となるかは分からない。
それに、就労して自立するまでのしのぎという趣旨からいうと、就労機会の多い場所に住んでいる方がいいだろうし。


地方移住の強制というのも考えた。嫌だけど。
これは江戸時代の参勤交代の逆みたいなもんで、一定期間地方に住まなくてはいけない。引越しをすることでお金をつかう。


しかし、ただでも崩壊している地域の輪をズタズタにしてしまう悪法になると思った。
前提として、自己決定権の侵害で憲法違反だろう。


話は社会保障費に移って、人口減少で高齢社会となり、どうやって負担するかが心配になる。
消費税の話をして、1%が2兆円の税収に相当するというけれど、この10年抜本改正を棚上げしているうちに、12兆円すなわち6%分の税収を失ってしまった。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/010.htm


つまり、消費税が切り札にならない。
非常に苦しい状況にある。
何でこんなに税収が減ったんだ?
相当の歳出減がこの10年にあったか。
違う、国の借金が増えているのだ。


人口は減少、生涯未婚率が今後上昇して、2030年の時点で生涯未婚率は男性は3割に、女性で3割を超えるとされる。
1990年生まれの女性の場合、3分の1以上が子を持たない。
単身世帯が4割となる見通し。
http://chitekizaisan.blog28.fc2.com/blog-entry-2189.html


正直、孤立化の進んだ生活形態をなんとかしたいと思う。
何人かで一緒に住んだほうが、生活は割安になるし、生活保護受給者とか無年金者の方々が、お金の有る人と一緒に生活すれば政府支出が減るから。
サザエさんみたいな3家族そろった家族を目差す。


だから、「みんなで住む給付金」というのを作ったらと考えた。
でも、やはり悪用される可能性があるから無理と諦めた。
それに、扶養控除など趣旨の近い政策が現在も存在する。


このような税収減、人口減の局面でどう手を打つか。
特に、厚生年金や労働保険における企業負担は企業にとって重荷だ。
法人税が減っても、社会保障の企業負担がまだ重い。
負担逃れで、無年金・無保険を余儀なくされる労働者もいるのではないか。
本人が年金を払っていたのに、企業が未払いのため無年金の判定を受けた例も聞く。
本人、企業、国にとって、うまい解決策が思いつかない。


移民を受け入れても、彼らが税金を払って年金を下支えしてくれる人になるかというと、そうではなくて、祖国に帰ってしまうだろう。
日本と祖国の貨幣格差や日本の排他的文化が残るうちは。
それは、かなり先まで残るだろう課題だ。


しかし、経済のグローバル化が進み、逆にいえば、日本の内需が弱まった結果、外国人を雇用する日本企業が増えている。
日本人が外国語を話せないのは、日本が世界的に力があって、外国人が日本語を習ってきたということと、大きな内需のおかげで、国内取引だけで経営できた企業が多かったからだろうか。
なにしろ、世界10番目の大きな人口を有する国だから。


移民政策で多少の日本滞在外国人が増えることはあるだろうが、その分、日本人の雇用が失われるので、それが有効かどうかは分からない。


さて、1400兆円の国民金融資産があるとされる。
ここに目をつけよう。
http://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/02.html


一人10万円の増税として、13兆円の税収増。1400兆円の国民金融資産があれば100年以上耐えられる。
乱暴な計算だが、外国人はおそらくこのように見て、ニッポンハマダダイジョウブダネと考えているのではないか。


この1400兆円の国民金融資産を当てにして、やはり景気対策が鍵だと思った。
エコカー減税や家電エコポイントは有効だった。
住宅ローン減税も簡単にいえば、3千万の借金をすると最大300万円の所得税が還付されるインセンティブがある。


このような流れで、何か他にないか。
国民の負担が大きな教育や育児の分野にこそ景気の鍵があるが、政府がそこに手当てを支給している。
介護・高齢者市場も大きいが、これも介護保険医療保険で税が投入されている。
お金は回っているが、国の収支でいうと、赤字?


国が黒字となる景気対策はないか。
例えば各国民が1万円使うと1.3兆円のお金が動く。
日本のGDPが500兆円で中国に抜かれた。
各国民が20万円を遊びや旅行、勉強に使う。
買い物でも食べ物でもいい。
すると、計算の仕方が違うかもしれないが、単純に国内消費が26兆円増えて、GDPが26兆円相当増えたとすれば、5%の経済成長率となる。
さらに、これが企業利益となれば、国と地方の法人税率35%で計算すると、9.1兆円の増収になる。


これは、ありえない試算なのだろうか。


例えば、国内市場をみると、


レジャー白書2010をみると、この10年間でレジャー市場が10兆円減少した。
パチンコ市場は6年連続の減。


教育産業市場調査によると、2009年の市場規模は前年6%減、英会話語学教育も6%の減。社会経済のグローバル化が進んでると思うのだが、教育の先行投資もできない状況では先細りだと感じる。


先に述べた26兆円の消費規模増がどれだけ大変か身に沁みてくる。
でも、減を取り戻すような需要の喚起さえできれば、市場開拓の余地はある。そういう見方をするべきだろう。
偉そうに聞こえないといいけど。


外市場に目を向ければ、

  • 原油等燃料 180兆ドル
  • 国際観光旅行 140兆ドル
  • 化学製品 120兆ドル
  • 自動車 100兆ドル

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/110


繰り返すが、ロシア、ブラジル、カンボジアベトナム、中国など、何もない国のほうが景気がいい。
紙幣を刷って支払いに充てたり、一定の軍事力などが国の信用力となり、それが紙幣の流通力とない、外国資本の参入を可能としているのかもしれない。
だから、単純に国内に当てはめて、何もないことを逆手にとった地方活性化なんて的外れなのかもしれない。
しかし、国民にカネはあるのに買いたいものがない時代、そしてみんなが不満という社会、一部の人はお金があるが、働きすぎで病気になったり、孤独に生活したりしている日本。
まず、需要をつくる。つまり、ゼロを生み出すことが必要だ。


ネットビジネスは12兆円ある。
http://www.nri.co.jp/news/2010/101220.html


思ったより少ないんだけど、ネットのような新しいサービスで、国民の需要を喚起する。
前述の強制移住制度はナンセンスであるが、引越しという需要を生み出すという考え。


地デジ移行も、アナログ放送終了で、国民にゼロをつくり、薄型テレビというテレビの進化と家電エコポイント制度のタイミングもよく、大きな経済効果をもたらした。
さらには、東京スカイツリーのような、観光の経済効果もある電波搭も立つ。
下記のサイトでは、アナログ電波の再利用も含め100兆円の経済効果について書いてある。こういう話は面白い。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NC/20090326/327263/


要するに、国は制度を変えることで、国民にゼロをつくり、需要を喚起し、経済効果を生むことができる。
そういったネタを考えたいんだけど、ちょっと今は思いつかない。


雇用についても考えた。
景気が悪い上、企業の雇用方針がグローバル化し、不安定。
大卒の就職氷河期
それでも、求人数は増えているらしい。
大学が増えて大卒者が増えたため、就職が難しいのだという。


中小企業や、警備・清掃、飲食接客などの分野に絞れば、話が違ってくる。
偉そうな言い方だが、教育の構造と産業の構造がミスマッチした結果だと何かに書いてあった。
中小企業といっても、国内企業数の99.7%が中小企業(個人事業者含む)で、サラリーマンの7割が中小企業で勤めている。
http://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq26.html
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/html/k3120000.html


雑誌「中央公論2月号」のなかで、大企業ばかりでなく、まず100人以上の従業員のいる中小企業を候補に増やすことが勧められていた。

朝日新聞の、働く先輩紹介記事で、企業の規模ではなく「業界一位」というモノサシで就職先を決めたという人がいた。


ただし、前述の中小企業で働くサラリーマンの割合は、東京に限ると5割を切る。おそらく地方都市でも割合は下がるだろう。
大企業志向には、都市志向も隠れている可能性があり、「選り好みするな」の論だと間違う。
生活・通勤環境を含めて就職先を選んでいるのだから、「地域の魅力づくり」という大人全員の問題だと思う。
http://www.chizuyainoue.jp/j_economy/cyusyoukigyou_hatarakuhito.html


話は求人から労働環境に移るが、いわゆるブラック企業という、人を使い捨てる会社がある。
そうでなくても、働きすぎで心の病気になる人が増えている。
特に30代後半から40代に多い。
たぶん、仕事がきつくても、結婚して子どもができ、マイホームも買った世代となると、辞めるに辞めれないのだと想像する。


一方に仕事のない人がいて、一方に仕事で身体を壊す人がいて、本当に配分が偏ってきていると感じる。


たしかに、日本は勤続年数と給料が比例する傾向があり、社会に出て最初に入った会社から転職すると、多くの給料が下がるとされている。
また、正社員と生涯フリーターでは、生涯賃金が3億円差がつくそうだ。http://allabout.co.jp/finance/gc/8499/


成功した人は「とにかく第一歩を踏み出すことが大事」とか言うけど、なかなか日本は挽回のきかない国なので、最初の一歩に細心の注意を払う気持ちは良くわかる。


雇用の不安定が未婚につながり、人口減少を加速させる、地方の過疎化は進み、社会保障を支える豊かな労働人口が形成されないという社会構造的なスパイラル。


という訳で、このように色々考えたけど、結局答えは出ない。