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!労働紛争に「いじめ・嫌がらせ」急上昇


厚生労働省では、各都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物などに労働問題に関する相談 に対応するための総合労働相談コーナーを設置している。
平成23年度に寄せられた相談件数は、
・ 総合労働相談件数 1,109,454 件
・ 民事上の個別労働紛争相談件数 256,343 件


平成23年度の民事上の個別労働紛争相談の内訳は『解雇』が18.9%、 『いじめ・嫌がらせ』が15.1 %、『労働条件の引下げ』が12.1%となっている。


前年度と比べると、これまで高水準であった『解雇』に関する件数は減少(前年度比3.9%減)し、『い じめ・嫌がらせ』(同16.6%増)が増加している。


労働関係についての個々の労働者と事業主との間の紛争を円満に解決するための「個別労働紛争解決制度」は、平成13年10月の法律施行から今年で11年を迎えるが、平成23年度の状況は次のとおり。
・助言・指導申出件数 9,590件
・あっせん申請受理件数 6,510件(合意成立 2,438件(38.3%))
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002bko3.html



職場いじめ、学校いじめは、傷害・暴行・わいせつ・強姦に当たる行為は刑法の規定により、それに当たらないときは、人格権の侵害による民法不法行為に、さらには学校や企業の安全配慮義務違反に(労働契約法、教育法規に直接規定がないが自明、民法第1条「信義則」第415条「債務不履行」など)


職場や学校のハラスメントは、憲法の人格権からではなく「生存権」に反する判決が出れば、国に措置義務が生じるため望ましいと弁護士が言ってた。こういう言い方はしたくないが、諸外国ではEU、スウェーデン、フランス、ベルギー、イギリスに職場のハラスメント・暴力に関する法制度がある。


典型的な職場いじめ1件が企業にもたらすコストは、イギリスの試算によれば、約400万円、その内訳はいじめによる欠勤(約100万円)、新たな人材採用費用(約100万円)、生産性の低下(不明)、事実調査に係る調査者の時間コスト(約30万円)、ラインマネジメントの時間コスト(約30万円)、懲戒プロセスコスト (顧問、弁護士 約60万円)とされ、国家的損失は2兆円となっている。
労働政策研究・研修機構研究員 内藤忍氏の講演より)


日本は個が我慢するお国柄なのか、ハラスメントに関する特別法はない。
ある弁護士によると、日本の労働者は簡単には解雇できないが、その反対に雇用主は広範な指揮命令権を持つと裁判所が認定する傾向にあるようだ。例えば転勤もあるし、業務内容がきっちり決まっていない事も多い。このような業務範囲の曖昧さは、日本のパワーハラスメントを扱う上で留意すべき特徴ということ。


なお、職場のハラスメントのうち、セクシャルハラスメントについては、2006年「改正 男女雇用機会均等法」により企業の措置義務が定められた。
しかし、 全国の労働局雇用均等室に寄せられる労働相談は、半分がセクハラで、法律改正前後において変化がないのだと弁護士が言ってた。


誰の問題?自分の問題。



刑法
(傷害)
第二百四条 十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金


(現場助勢)
第二百六条 現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料


(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料


(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も同様。


(強姦)
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、三年以上の有期懲役。十三歳未満の女子を姦淫した者も同様。


(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金。


(強盗)
第二百三十五条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、五年以上の有期懲役。


(盗品譲受け等)
第二百五十六条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役。


(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金。


(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役。


名誉毀損
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金。


(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料


(信用毀損及び業務妨害
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金。


(威力業務妨害
第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。



民法
(基本原則)
第一条第二項 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。


不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。



労働契約法
(労働者の安全への配慮)
第五条  使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


男女雇用機会均等法
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
《追加》平18法082
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。



【参考】
平成23年労働関係民事通常訴訟事件の新受件数 3,170 件(平成22年3,127件) 平成23年労働審判事件の新受件数 3,586 件(平成22年3,375件)
最高裁判所行政局>


職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html
<平成24年1月 厚生労働省


「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t.html
<平成24年12月 厚生労働省

  • 内容について、企業調が受けた相談内容からは「精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)」が 69.6%、「人間関係からの切り離し」21.2%、「過大な要求(業務上明らかに不要なこと、 遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)」16.8%、「個の侵害」15.4%、「身体的な攻撃(暴行・傷害)」14.7%、「過小な要求(業務上の合理性なく、 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)」6.7%の順で続いている。
  • 内容について、パワハラを受けた従業員の回答からは「精神的な攻撃」 55.6%、「過大な要求」28.7%、「人間関係からの切り離し」24.7%、「個の侵害」19.7%、「過小な要求」18.3% 、「身体的な攻撃」 4.3%となっている。
  • パワハラが発生する職場の特徴「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」、「正社員や正社員以外などさまざまな立場の従業員が一緒に働いている職場」、「残業の多い職場」、「失敗の許されない職場」など
  • パワハラを受けた後「会社を退職した」人 13.5%(男性10.1%、女性18.1%と女性が高い)
  • パワハラを受けた後「何もしなかった」人 46.7%(男性53.5%、女性37.3%と男性が高く、女性は上司や同僚に相談している)
  • パワハラを受けた後「同僚に相談した」人 14.6%(男性11.2%、女性19.3%)
  • パワハラを受けた後「上司に相談した」人 13.6%(男性10.7%、女性17.5%)
  • パワハラを受けた後「社内の担当部署に相談した」人 3.9%、「社内の相談窓口に相談した」人 1.8%、「労働組合に相談した」人 2.4%など相談窓口を利用した人は少ないが、一カ所に相談するのではなく、複数窓口を利用していた。