I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

農業の保護を考え抜くっ


日本の食料戦略と商社

日本の食料戦略と商社


引用

商社が食料ビジネスで評価される機能は多様化している。調達先の確保という単純な話だけではない。物流手段の多様化や大量買い付けによるコスト抑制がある。販路をアジアに拡大し大量買い付けを加速させれば、南米、東欧、ロシアからでも穀物を集荷することができる。調達先のオプションを多数持つことは安全保障の基本である。海外での農業生産は食の安心・安全を意味するようになった。海外農家への市場情報の提供により、農家は安定した生産計画を作ることができる。取引先に対する金融提供は銀行の役割を代替する。こうした多くの機能があってこそ、「調達力」が一層強化されると言い換えてもよいかもしれない。

単収の増加ー品種改良、ポンプ・ダム・水路建設などの灌漑用水、蒸気トラクターなどの農業機械、窒素肥料、農薬・・・(中略)・・・といった工業製品の投入によって「農業」を「産業」に変貌させた「緑の革命

GM作物ー遺伝的性質の改変によって品種改良等が行われ、大豆、トウモロコシ、綿花などの品種は、除草剤を浴びても枯れない「除草剤耐性」や特定の害虫への殺虫作用のある「害虫抵抗性」、「ゴールデンライス」のような栄養強化を目指す取組・・・は、日本や欧州では抵抗感が強い。アレルギー誘発等の可能性・・・在来品種の駆逐による生物多様性の危機、生態系への影響、生物特許による種子の「囲い込み」が行われ、アグリビジネスによる農業支配が実現する、GM品種が管理の不手際で一度環境中に放出されると回収することが極めて困難


感想


食糧安保というと、食糧自給率を100%にすることかと思ってたが、多様なルートで食糧を調達できることが大事だと知った。


たしかに、江戸時代以前は、ほとんど食糧自給率100%だったと思うが、何度も飢饉が起きて餓死者が出たといわれる。


食糧自給率が100%だと、天候不順や内乱などで不作や農作放棄されたときのバックアップがないからだ。


現在の食糧自給率が40%とされているが、諸外国から穀物、豆類、食肉などを輸入しているため、どこかの輸入元がひとつ欠けてもバックアップが効いているため、食糧安保体制は十分かと思える。


いえいえ、食糧安保とは戦争や円の信認を失い、食糧を輸入できなくなったときの話だとするなら、輸入に頼る現体制は安全保障が満足されていないとの論も立つ。


しかし、食肉に関して言えば、飼料穀物の75%を輸入している現状だという。これでは、有事における国内の畜産業はほぼ成り立たない。
また、飼料穀物をすべて国内でまかなうためには、物理的に農地が足りないのだという。


なお、1kgの食肉を生産する為に必要な穀物は、牛肉の場合10kg、豚肉5kg、鶏肉2kgなのだという。
だとしたら、有事においては、鶏肉を生産するのが少ない穀物で食肉を得る方法だ。
有事になったら鶏肉を作るべきだし、そのために鶏肉畜産業を保護するか、牛肉・豚肉業者からの転業を容易な状態としておくべきた。


ただし、食肉は必須の食べ物かというとそうでもなく、江戸時代まではほとんど食べられていなかった。タンパク質は植物からも摂取できる。
しかし、豆類も日本は大量に輸入しているという。したがって、豆類から作られる油脂も海外に依存しているという。



野菜は、鮮度が必要なので今でも輸入が占める割合は比較的多くないとのこと。


米に関して言えば、100%自給できており、もっと作れるが減反政策により栽培を制限している。
一方、カロリー摂取に占める麦の割合は増えており、米食よりもパンや麺が増えているという。
麦はほとんど100%近くが輸入されている。


米食の需要を増やして、麦から米に再びシフトさせれば、食用穀物の自給率は増やす事ができるという。


しかし、有事において、石油などエネルギーの輸入が途絶えると、トラクターなど農業機械を動かすことができず、水を引いたり、ひいては収穫物の運搬もできない。


漁業も同じで、漁船を動かす燃料がなければ、魚はとれないし、例えば外国船に海上を制圧されていたら海に漁船が出る事もできない。


このようなことから、有事においては、エネルギーの不足、特に鉱物性燃料の不足は農漁業に深刻な影響を与え、大きく生産効率を下げることになる。
だから、結局のところ食糧安保とか自給率を上げるとかいっても、実現は困難だし、本当に有事になったときは、その時点の自給率が100%だとしても、エネルギーの不足や、飼料穀物、さらには農薬や化学肥料、品種改良種の不足など、生産性を高めるツールの多くを海外に依存している現状から、生産量は大きく目減りしてしまうだろう。


TPPによって、安価な輸入食料か、国内農業の保護かで国論が別れるが、国内耕作地の維持、農家の人材供給の確保という観点からいくら努力しても、生産性を高めるツール自給率を高める取組をしないと、有事にまったく役にたたない農業の保護という話になる。


建設的な話を。
変温動物は、成長に必要なエネルギーが多く、恒温動物は、少ないエネルギーで増やすことができる。
だから、食料やエネルギーが不足するときの家畜は、変温動物よりは、爬虫類や魚類など恒温動物とするのがよい。そのような有事に適した農畜産物の選択や、国内資源での対応を考え抜くことが大事だ。