I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

エネルギーミックス(国際比較)脱原発から脱電力まで


都内でも2900軒が停電してた。関東では16500軒が今も停電。
都知事選挙の前夜でもあるこの大雪の夜に、電力・エネルギーについて考えをまとめました。


製造業の立地は、かつては中国など人件費の安い国に流れたが、中国など開発途上国の賃金上昇、不良品率、技術流出リスクを踏まえ、今は電力料金の安い先進国に回帰しつつある。一番はシェールガス革命のアメリカ。日本は、電力料金が米国より2〜3倍高い。産業用ガスは4倍高い。ガソリンは2倍高い。
:エネルギーコストの国際比較(エネルギー白書2013)
http://t.co/i1LJsCWOyU


2008年は、円高で製造業危機、石油高騰で、北海道・東北で灯油燃料が高まり家計直撃で困るとの政府認識だったが、2014年は、円安・物価が上がって良かったねと言っている。家計直撃は同じだろうに。
ちなみに、ドル円はどちらの時点でも102円で同じなんだが。官僚ペーパー二枚舌、2丁拳銃ですよ。


世界各国の原子力発電量をみると、アメリカが1位だけど、意外と北欧各国が持ってる。
ロシアが意外に少なく33基。チェルノブイリ’86年の事故からさすがのロシアも15年間は新規建設が途絶えてたって前例を、官僚は踏襲しないんですかね。
中国は14基。中国のこの少なさを見ると、50基の日本は、中国人よりリスクに楽観的な民族だったか?と、逆に心配になる。
:世界の原子力発電量(エネルギー白書2013)
http://t.co/pWuWM8Pcm5


そもそも発電源はどういった組合せ、バランスが妥当なんだろうか?
まず、世界の例から見ていく。


震災前の世界のエネルギーバランス(2010年)
電力に占める原子力発電の割合→米国19%、中国2%。韓国30%、日本26%、独23%、仏76%、英16%、伊0%。
日本より原発の少ない先進国も国際競争力を維持しているのだから、原発減らす=経済非効率とはいえない。


原発補助金や廃処理費の先送りで電気料が低く見えるだけ。
原発が止まり4兆円の国富流出とするが、原因はむしろ円安による単価上昇。
むしろ、残りの74%を占めていた化石燃料輸入コストがそもそも他国より割高だったことにも焦点をあてるべき。
:2013年度原発停止影響の燃料費増は3.8兆円=経産省試算(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93G01W20130417


電力に占める石油発電の割合→各国ともに数%程度、日韓9%。
石油はガソリンや化学製品など様々な用途があると思うけど、電力発電に占める割合は意外と少ないと。むしろ日韓だけ割合が高いのが謎。米国同盟で、石油メジャー利権とかか?
他国は石炭発電の割合も結構高い。
:世界の電源別発電構成比(エネルギー白書2013)
http://t.co/uRMIAPkRE0


むしろ電力問題はこれか。
エネルギー自給率→日本19%、韓国18%、中国91%、インド75%、スペイン27%、伊18%、英73%、独52%、仏51%、米国78%
:主要各国の一次エネルギー消費構成と自給率(日本エネルギー会議)
http://t.co/EzhP2X3kIp


私の意見。原子力発電の割合は、26%→10%くらいに減らす(英米と同等かそれ以下)。
その前提として、エネルギー自給率の向上に原発が寄与すること。
自給率が少ないと、石油やガス輸入価格交渉で他国に足元を見られ、言い値で買い続けざるをえませんよ。
自給率という観点から再生可能エネルギーの割合が高まれば、原発もいらなくなりますよ。(理想論)


最近、日本政府が後押しする原発輸出は何だろう?
東南アジアが、エネルギー(石炭、ガス)で中露と密接になるのを防ぐねらいもあるのか?


震災後日本の電源割合(2012年)
原子力2%、天然ガス43%、石油18%、石炭28%、水力8%、再エネ2%。原発が止まって、2010年の原子力26%の埋め合わせは、石油9%、ガス17%に相当する。節電や再エネ増でカバーできそうな気がする。
再生可能エネルギー導入状況(資源エネルギー庁
http://t.co/oKCAv7yo2O


原子力発電をゼロにすると支障があるとする説としては、エネルギーの他国依存が高まり安全保障上で具合が悪いとか、原発技術者の成り手や技術継承が困難になり、廃炉も出来なくなる。原子力の研究も遅れ軍事的に不利になるなどが言われている。
原発が立つ地域経済へのインパクトも大きいだろう。


東京電力は、すでに国有化だが、原子力発電施設を、全部廃炉にしたら、原発施設が「資産」→「負債」になり電力会社が倒産しちゃうと。株主涙目だと。株主だれ?官僚OB,財界人,銀行,高齢者,都庁(都民)。それはだめだと。
株主や銀行が呑めるスキームが作れたら原発は止まるのではないか。
これと代替エネルギー、そこを考えてから文句言えと。


脱原発という公約は、インパクトはあるが、実は何も言ってない。
リーダーが止めると決めたら、民間が動き出すというけど、節電なのか、電源をどうするのか、いつ、どこで、誰が、何をするのか?
皆がそれぞれ勝手にイメージしてるか、誰も考えてないかどちらか。


都環境局のホームページをみたら、再生エネルギー発電を2020年までに20%に増やすという計画を見つけた。東京都はエネルギー自給率が11%で、災害時には心細いとまで書いてあった。都知事候補にはこのような、具体的な行動計画を実現する道筋を示してもらいたい。
:東京都の再生可能エネルギー戦略(東京都環境局)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/energy/renewable_energy/strategy.html


原発容認候補にも、他県の原発に依存する現状を、危機管理の観点から見つめ直してもらいたい。危機管理がお得意と評判の候補もいるので、当然お考えと思うが、エネルギーの自給自足と再生可能エネルギーは、親和性が高いと思いますよ。環境金融、再エネ減税、排出量取引などアメとムチで。


脱原発→脱電力だっていい。
そうならないのは、結局のところ「脱原発」なんていうのは、電力業界のコップの中の嵐ですよ。
私なんか今日はガス暖房使ってますし。
エネルギーに占める電力の割合は4割。(世界各地域は2割)
お風呂はガスで湧かしたりなので、残りの6割はガス、ガソリン、灯油だろうか?
:一次エネルギーに占める電力の割合(電気事業連合会
http://t.co/CjitZyXaHp
:世界の電力化率(エネルギー白書2013)
http://t.co/uRMIAPkRE0


販売電力量でみると、東京電力は国内10社の31%を占める。東京都が2020年までに再生エネルギーを20%にする取組を関東広域自治体を巻き込んで達成したら、31%×20%=6%、つまり全国の6%が再生エネルギーになる。
国全体の発電量に占める再エネ割合を現行の1.6%→6%に東京発でできる!


さらに節電。2013年12月実績では、去年より全国で4%電力量が減ってた。
再エネ6%+節電4%=10%。
これで、2010年時点の原発発電割合が26%のうち、節電と再エネで10%をリプレースできる。
原発を減らせる。脱原発と北風を吹かすより、行動計画で、原発にさよなら。
:電力会社別、業種別、電力需要実績(電気事業連合会
http://t.co/dzTpwKkPZJ




参考

細川護煕公式ホームページ
Q17 中小企業などを中心に、電気料金の上昇で経営が成り立たない企業が出てくると思うが、それにどう対応するのか?
「製造業の製造コストに占める電力料金の割合は、わずか1.3%です」
「ただし、急激な電気料金の上昇に耐えられない中小企業に対しては、政府や都が協力して、省エネやエネルギー転換のための投資を支援する仕組みで支える必要があると思います」


⇔こういうの見ると私はこんなデータが気になってくる。
そもそも製造業の営業利益率は2.8%で、1%は決してわずかではないと。
:中小企業実態基本調査(中小企業庁
 「平成24年調査の概要」図7−5 売上高営業利益率
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001112374


しかし、具体的な数値を挙げて、ある意味、ツッコミ覚悟で物を言う態度は信用できる。
こういった吟味を重ねることは、エネルギーのベストミックスを図るうえで重要。
(でも、これと投票とは別なのであしからず。都政の課題はこれだけではないですし)