I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

景気循環のデザイン論


1.商店街にお客が来ないので困っていると言うので、営業時間を増やして夜も店を開けたら仕事帰りの客が見込めると提案したら、こう返事がきたと。「我々にも生活がある。それは出来ない」
これは、ある専門家から聞いた話で、若い頃の自分は、商店主のネガティブ発言と受止めたが、今はちょっ違う。


2.人を雇う余裕のない商店主にブラック企業的な長時間労働をしろとその専門家は言ったのだと今は考えている。商店主にも生活がある、そうだそうだと。労働者の権利は叫がばれる一方で、小さな商店でも経営者には、世間の向かい風が少しあるような気がする。努力と才覚でやるべき。自己責任だと。


3.町の工場も商店も減ってる。生産の海外移転や、大型スーパーの影響もある。人口が減れば、理容や飲食などサービス業も成り立たなくなる。よく、景気が悪いと吐き捨てる人がいるけど、景気は吹いてくる風ではない。政府の恵みでもない。お金を地域で回すように消費行動を1人1人が変えていく必要がある。
消費者も、その消費行動で地域経済に貢献できる。1人の力は小さくても。

例えば、100人の雇用ができると、単純化して1人の年収が500万円として、5億円が労働者に支払われ、5億円が町に落ちる。
5億円が地元の商店で使われ、商店が仕入れを地元で賄えば、さらに地元の納入業者に5億円が落ち、納入業者の人件費比率が2割だとすれば、1億円がさらに地元の労働者の手にするところとなり、1億円が地元の商店で使われ…という風な経済波及効果が期待できる。
参考までに、東京都檜原村の一般会計予算35億と比較しても、5億円は大きい。


4.かつては、公共事業をすれば、資材を地域で調達し、労働者は地元で買い物をし、商店は地元で仕入れ、商店主も相互に買い物をし、政府が落としたお金が地域で何回転もした。
今は公共事業をしても、資材は輸入、労働者の買い物も、Amazonや大型店となり、地元の個店や納入業者には回らない。


5.景気が悪いとか言う人に言いたい。地元でお金を使う事をまず自分が実践すること。買い物は地元で、仕入れも地元で、ネット通販や輸入品は避ける。変化に逆行する必要はないけど、地域でお金を回すデザインがないと、アベノミクスは穴の空いた盆。


6.消費者物価指数を見ると、サービスが前年比0.6%の上昇であり、全体の1.5%、生鮮食品の11.1%、光熱水費の5.7%ほど上がってない。サービス価格は全体に遅れて上がると東大教授がNHKで言ってたし。
労働者の7割が働くサービス業の賃上げの前に、資材高騰に企業が耐えられるか。


7.飲食、小売、娯楽、教育、生活サービスは、商圏の住民数に依存するので、革新的サービスが産まれない限り、景気の起爆剤にはなりそうもない。景気の波を作るのは、外需を取り込める製造業や、復興需要、五輪、老朽するインフラを担う建設業、株価上昇など追い風の金融業だろう。これらに従事するのは全体の約3割。
しかし、日本銀行のデータを見る限り、製造業と建設業の設備貸付が増えていないのは気になる。景気循環が始まってもいないのではないかと。


8.全体の7割が働くサービス業に景気の波が届くのは、製造、建設、金融などの賃金が上がって彼らがお金を使うようになってからだと思う。サービス業で働く人は、それまで消費税や食品の値上がりに耐えられるのか。企業向けサービス*1として、景気のいい会社と繋がることが出来れば、景気の好循環が早まる。


9.消費者態度指数を見ると、消費動向は景気の影響を受けるが「家事サービス」はこれまで変動が少なかった。共働きも増えたし成長分野と思ってたけど、直近の数字は下降。消費者物価でも、家事サービス価格はマイナス。他に履物、和服、酒など買い回り品が下がってる。医療器具、健康食品も下がってる。余裕0


10.サービス業は、価格転嫁が厳しく、人口も減ってる。厳しい消費者向け。スターバックスiTunesみたいなこと、日本人も考えないと。
JRが列車とメンテナンスをセットで海外に売込んでいる。製造+サービス、企業向けサービスに景気の第2の波を期待。




労働力調査総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/


消費者物価指数総務省統計局
http://www.stat.go.jp/data/cpi/


<消費者態度指数>内閣府
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

*1:リース、卸売,運送,広告、環境・エネルギー等