1.規制改革のため既得権集団の岩盤を壊すと安倍さんは言う。手始めにその岩盤を見える化して欲しい。農業、医療など利権集団の業界マップ、その所属企業、従業員数、業界販売額、納税額、献金額、ひも付き議員の名前など公表して国民がしっかり共有するのが一丁目一番地その上で議論だ。
2.そもそも特区制度は衆参ねじれ国会で法律が全然通らないとき、法律がなくても政策が出来るよう官僚が作った抜け道だと誰かが言ってた。今はねじれてないのに、まだ安倍さんに特区制度とか言わせてるのは、たぶん官僚ではない。いわゆる族議員なのだろう。全然NEWじゃないですよ安倍さん。
3.規制緩和したら親戚のおじさんが失業し家族離散、一方で、内定のもらえなかった甥っ子が新規参入企業に就職などするだろう。このような、誰かの仕事がなくなって、別の人が仕事に就けるというゼロサムゲームだとつまらん。
国内の付加価値額=企業利益+給料+納税額の総額が高まればよい。
4.付加価値額は様々な捉え方があるようだが、例えば、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス活動調査」という全数調査結果に、産業別、都道府県別などが計上された。企業が利益を上げ、賃金が上がり、税収増の好循環を計量化するのは、付加価値額だと私は思う。
5.例えば、卸売業・小売業は、従業者1人当たりの付加価値額が、全産業平均より低い。理由として、非正規雇用割合が高く、給料支払水準が低いのと、流通産業は、単純に言えば、商品を仕入れ、利益を乗せて売るだけなので、経費に占める仕入原価の割合が高く、価格転嫁の難しいデフレ下で利益出てないと。(私見)
卸売業・小売業は、全産業の従業者のうち、21%が働き、全産業の事業所数のうち26%を占めている。このように多くの国民が関わる産業の付加価値額を高めていくべきと思う。
卸売業・小売業の従業者1人あたりの付加価値額について、全国と東京都で比較すると、東京都の方が多い。理由は東京都の卸売業には大手商社が含まれているため。
6.付加価値額には人件費を含むので、事業所単位でみると、一般に労働集約的な産業、例えばサービス業などが付加価値額が高い傾向にある。このため、私の同僚は、付加価値額は当たり前の情報を見せられているようで面白くないと言っている。
なので、ここでは、従業者1人あたりに焦点を絞って、経済センサス活動調査結果を見ることにする。
なお、従業者1人あたりに絞っても、非正規、短時間労働の割合が高い宿泊業, 飲食サービス業などの付加価値額は低く算出されるという点はわきまえて見る必要がある。
従業者1人あたりの付加価値額は、下記に表にまとめたところ。
全産業平均は494万円であり、これより多い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、金融業, 保険業、鉱業, 砕石, 砂利採取業、情報通信業、学術研究, 専門・技術サービス業、不動産, 物品賃貸業、製造業である。
7.全国と東京都では、東京都の方が従業者1人あたり付加価値額が高い傾向がある。これは、付加価値額が人件費(=東京は高い)を含む点や大企業の数か多いことに理由が考えられる。
東京都の事業者が全国よりも従業者1人あたりの付加価値額が倍近く多いのは、電気・ガス・熱供給・水道業、不動産, 物品賃貸業、学術研究, 専門・技術サービス業、医療, 福祉、鉱業, 砕石, 砂利採取業がある。
他の業種は、東京都が全国より1.5倍程度となっている。
8.規模と付加価値額の関係について。東京の医療,福祉は、従業者規模50人以上が1事業所あたり1347万円と高いが、その他の規模では、5人未満の事業所が440万円であり、5人〜9人が470万円、10人〜19人が468万円、20〜29人が311人、30人〜49人が385万円と、むしろ小規模の方が多くなっている。
これは、全国でみても同傾向であり、医療,福祉業界が規模のメリットを発揮されていないビジネスモデルであることを表していると思う。
他の産業、例えば製造業などが規模に比例して付加価値額が増える=効率化が図られているのと対象的である。
国民保険制度により診療報酬が一律に定められている医療業界の硬直性、大規模病院ほど手間ひまのかかる高度技術や、救急医療を担い費用が多いということなのだろうか。
同様に、事業所規模が大きくなるにしたがって、付加価値額が増えない業界に農業がある。
これも、1従業者あたり付加価値額が多い=効率的な事業所は、5人未満の事業所となっており、規模のメリットが発揮されていない。いわゆる手厚い国家政策により、農家が守られているためと想像する。
また、日本の国土に山が多く、アメリカのように見渡す限りの平野ではないため、農地を集約しても地形に段差があったり、細切れであったり効率化しにくいと聞いたことがある。
さもなければ、小規模農家が単価の高い果物などを扱い付加価値額が大きく、中規模農家は比較的安価な作物を扱っているという仮説も立つが実際はどうなのか?
電気・ガス・熱供給・水道業も5人未満の事業所がそれよりも規模の大きい事業所より効率的=従業者1人あたり付加価値額が大きい。従業者が少ない方が効率的となっている。
これは、機械設備が仕事するので、人手が少なくても成立するためだろうか。
本来は、これからの人口減少社会では、1人あたりの付加価値額を高めて行く必要があり良いこと。
付加価値額には利益や人件費を含むため、嫌な見方をすれば、電力会社の子会社などで、利益出し過ぎ、天下りなどに給料払いすぎの懸念も。
9.東京の製造業が心配だ。5人未満の事業所、つまり小零細事業書の付加価値額を全国と比較すると、従業者1人あたり付加価値額が、東京都の事業所289万円と、全国の事業所284万円。ほぼ同じとなっている。
これが何を表すかというと、東京の製造業は、特別に付加価値の高い製品を作っているわけではないということ。大学や研究機関の集まる東京、多くの企業が集積する東京、大消費地にある東京にありながら、東京の製造業は都市に立地するメリットを活かせていない。
また、他産業の中で比較しても、5人未満の事業所における従業者1人あたり付加価値額が289万円という水準は下から5番目。
製造業の下には、教育, 学術支援業、生活関連サービス業、宿泊業, 飲食サービス業がある。
東京の製造業は、大田区の中小企業など技術力で勝ち抜く付加価値の高いイメージがあったこと、また東京は人件費も高いことから、東京の事業所の方が、人件費を含む概念である付加価値が高いという先入観があったけと違った。
東京の小規模製造業にとっては、土地・物価・人件費などコスト高によって、利益が出ておらず、納税額も少ないという厳しい状況にあると言えよう。
(データ)
事業従業者1人あたりの付加価値額(単位:百万円)
産業大分類別
産業分類 | 全国 | 東京都 |
---|---|---|
電気・ガス・熱供給・水道業 | 1416 | 2567 |
金融業, 保険業 | 1218 | 1631 |
鉱業, 砕石, 砂利採取業 | 1023 | 2136 |
情報通信業 | 863 | 970 |
学術研究, 専門・技術サービス業 | 738 | 1169 |
不動産, 物品賃貸業 | 656 | 1020 |
製造業 | 552 | 647 |
卸売業, 小売業 | 490 | 743 |
運輸業, 郵便業 | 467 | 638 |
医療, 福祉 | 459 | 919 |
複合サービス事業 | 453 | 465 |
建設業 | 449 | 631 |
教育, 学術支援業 | 379 | 481 |
サービス業(他に分類されないもの) | 348 | 504 |
生活関連サービス業 | 313 | 399 |
農林漁業 | 288 | 331 |
宿泊業, 飲食サービス業 | 185 | 214 |
全産業平均 | 494 | 554 |
※表記順番は、付加価値額が高い順(全国)
資料:平成24年経済センサス活動調査
産業横断的集計 統計表5−1−2 表5ー2ー2
従業者1人当たり付加価値額の多い産業
産業中分類別(全国)
- 補助的金融業等
- 専門サービス業(他に分類されないもの)
- 電気業
- 保険業(保険媒介代理業,保険サービス業を含む)
- 熱供給業
- 放送業
- 金融商品取引業,商品先物取引業
- 石油製品・石炭製品製造業
- ガス業
- 非鉄金属製造業
資料:平成24年経済センサス活動調査
産業横断的集計(詳細編)結果の概要 表IIー11
従業者1人当たり付加価値額(単位:百万円)
従業者規模別(全国)
規模 | 農業, 林業 | 漁業 | 医療, 福祉 | 製造業 |
---|---|---|---|---|
全体 | 260 | 423 | 459 | 552 |
1〜4人 | 331 | 556 | 313 | 284 |
5〜9人 | 296 | 438 | 412 | 383 |
10〜19人 | 247 | 364 | 399 | 420 |
20〜29人 | 241 | 388 | 336 | 455 |
30〜49人 | 234 | 401 | 346 | 479 |
50人〜 | 248 | 506 | 545 | 639 |
資料:平成24年経済センサス活動調査
産業横断的集計 統計表5−1−2