I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

破戒3


島崎藤村の『破戒』を読む。
読後を待たずに感想文を書く。
主人公と一緒に自分の心の動きをつづるのだ。
ていう。

続き。


結局、尊敬する先輩に同じ出身であることを告げられなかった主人公。


そこに、友人からの手紙が届く。


なんでも、農業大学で研究できる、つまり出世するという手紙だ。


それを見て、自分は小学校の先生やってていいのかと残念な気持ちになる主人公。


それを読んで残念な気分になった読者の私。


小学校の先生、サイコーじゃないですかっていう。


自分の出身にコンプレックスを持つに加えて、職業にまでコンプレックスを持つ主人公なのだ。
さらに、自分の生まれを考えると素直に女性とも付き合えないないと考えている。
悩みが多い。
出身は自分にはコントロールできないけれど、その後の人生はその人のものだ。それを出身のせいにするような主人公の心の動きは残念だ。


でも、島崎藤村はどうしてこのくだりを書いたのだろう。
必要か?
自分の出身に対する秘密を抱えているっていう峻烈な動機が、なんだか職業コンプレックスや異性への引け目など上乗せされることで、薄まる。


悩める普通の人って描写なのかな。
弱い、瀬川さん普通の人だ。