I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

遺伝子で病気も才能も分かる


人権は等しいが、生物として考えると優れた個体が子孫を残すのが自然の摂理だ。しかし、人間界は、医療の進歩や社会保障により生存競争とまでいかなくても、男女がその気になれば子づくりが始まり、子が産まれたりする。そうすると弱い個体が生まれる機会も多くなり自然に反する。


このような考えを優生思想といい、社会で成功し優れた才能を示す人のみが子孫を残すべきと考えている。また、かつての優生保護法は、遺伝性の病気のある人の子づくりを制限していた。


しかし、NHKスペシャルをみたら話はもっと進んでいて驚いた。
簡単な遺伝子検査で将来どんな病気になりうるか分かる。さらには、その人の才能までも。


女優のアンジョリーナ・ジョリーさんは、遺伝子検査で将来乳がんになる可能性が87%と分かったので、手術して将来のリスクを除去した。
アメリカの少年は、腸に穴があく病気を遺伝子情報から原因を特定し治癒に成功した。


このような例から遺伝子検査を希望する人が増えているのだそうだ。
アメリカの企業は簡易キットに唾液を入れて送るだけで、遺伝子検査をしてくれる。
これからは、結婚相手を選ぶときに、遺伝子検査が決め手となる時代がくるかもしれない。


現実は、生まれる前、受精卵の段階で、遺伝子検査により病気のリスクの少ない受精卵を選んで受胎する夫婦が増えているのだそうだ。番組では17の人工受精卵を研究機関に送りその中から一つ選ぼうとする夫婦がいることが具体的に描写されていた。


さらには、天才やスポーツ選手の遺伝子から、特定の才能と因果関係のある遺伝子が突き止められており、例えば持久力のある遺伝子、リズム感のある遺伝子などが分かってきた。
中国などでは、幼児の遺伝子を検査し、その子の才能を遺伝子レベルで判定し、効率的に英才教育をしていく例が増えているのだそうだ。


ただし、最後に番組が警鐘をならしていたのは、均質化のおそれ。
人類が強固であるためには、多様性が必要で、すべてが同じような遺伝子傾向を持つように選別化が進むと問題がある。伝染病などでは、各人に多様性があると、何かしら死を逃れるグループが残るが、全てが均質化すると、一つの原因で全てが死んでしまうことになる。


さらには、遺伝子で分かる病気や才能に焦点を当てすぎると、病気だからダメだとか、取り柄がないから失敗という考えに行きがちになる。病気や欠点があっても豊かな生き方を目指す方向に振れて欲しいとまとめた。


NHK解説員HP
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/156994.html