I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

秘密保護法


「情報」は権力の源泉である。


秘密保護法は、情報の中央集権を強化するものである。


秘密保護法は、秘密事項を指定する。これは秘密を漏らさないためと説明されるが、本当の目的は逆で、各省庁が省益のため自公政権に出そうとしない秘密を、吐き出させ政権が掌握するための第1段階だと私は考える。


さらには、現在議論に上がっていないが、民間企業等の海外からの情報収集にも影響があるだろう。
たまたま同一の機密情報が、政府にも民間にも複数のパイプで流れてくることがあると思うが、疑いを避けるため指定秘密に当たるかもしれない情報収集活動が萎縮するのではないか。
このことにより、機密情報の流れが政府に太くなっていく第2段階。


さらには、政権、特に首相官邸が情報優位に立ち、各省庁や政財界に影響力を強める第3段階。


今でも公務員には、守秘義務があるし、情報公開法は、一定の基準により非公開とできる。
情報の存否自体も非公開とできる。


現行で何が足りないのか。
今日のNHKの討論番組では「日本に情報を教えると2日後には新聞に載ってしまうという海外の声」が理由の一つとして挙げられた。
公務員が情報を漏らすのがいけないとするなら、守秘義務で十分だと思う。


だだし、官僚が政治家に先立って世論を形成するため報道機関に積極的に情報を流して行くという政策実行の手法が小説やドラマで見受けられるが、そのような官僚のプレイを牽制するのが目的の一つかもしれない。


足りないとすれば、国会議員に対する情報提供の歯止めがないことがあるだろう。
秘密保護法が出来れば、国会運営が政権にとって楽になるのかもしれない。


国会議員に対して情報が出てこなくなるかもしれない法案を国会が審議しているというジレンマを、国会議員は自覚しているのだろうか。


そもそも、現行のTPP交渉の極秘裏に進められている。秘密保護法はないけど、情報を取る方法がないではないか。
近い将来、自衛隊の海外派遣において、「その理由は秘密保護法のために公開できない」「でも自衛隊の派遣を承認せよ」という国会答弁が出るかもしれない。


また、公務員の守秘義務規定には、秘密の特定にあいまいさが残っていたが、秘密保護法は、特定秘密を決めるので、より罰し易いという点に違いが在る。


さらに、秘密保護法には、公務員以外の一般人に対する罰則もある。
秘密保護法は、その昔「スパイ防止法」と呼ばれた。30年間くすぶってた火種。
秘密保護法のパブコメを見ると、特定秘密を違法に取得、未遂、教唆も罰するとなっている。
現行のいわゆる公務員の守秘義務は、公務員や事務の受託企業に対する罰則はあるが、実は、情報の受け手に対する罰則がない。
つまり、民間人が違法に秘密を取得、未遂、教唆により取得したことによる明示的な罰則規定がない。
また、報道機関には取材の自由や、取材源を秘密にする権利もあるため、状況は薮の中であり、国家機密を取得した者を取り締まることはこれまで難しかったと考えられる。


類似例に照らして考えると、企業活動の営業秘密に関しては、営業秘密を不法に取得した者への罰則がある。
また、公務員の収賄罪も、渡し手と受け手双方に対する罰則がある。
このようなことから考えると、公務員の守秘義務に、受け手に対する罰則なないのは、形式的にはバランスを欠いている。


しかし、営業秘密や収賄がもっぱら私的利益の問題であるのに対し、国家が持つ情報は国民の財産であり、それを政権が隠すときに、情報を収集するジャーナリズム活動を罰するというのは、公正さを欠く。


だとしたら、秘密保護法が民間人を縛る装置になる。
実際は、すでに2001年にそろり防衛秘密が先に国会を通ってる。
外堀は埋まっているのだ。


あらぬ疑いをかけ、東京地検が土足でオフィスに踏み込むようなことができる。
メディア、商社、調査機関は萎縮しますな。
でも、メディアもこのことに無自覚なような気がする。


国民の知る権利として、国が情報を出さないことだけを問題にし、公益通報的な、公益に資する情報を国から引き出す行為まで侵害される理念的な問題には言及が少ない。というか見ない。
実際には、小沢一郎氏が収支報告を偽装したという形式罪に問われ、大事なときに力を出せなかったように、国家機密を取得したという疑いをかけ、いくらでも誰でも逮捕できるようになることが問題だ。


まとめると、イメージとして財務省の権力の源泉が、国家予算であり、国税庁の査察権であるとしたら、秘密保護法は、政権が情報という国民の財産を掌握して権力の源泉とし、罰則規定により民間人に睨みを利かす新しい武器ということになる。
国会議員は、自らも縛られる法案を無自覚に通そうとしている。


このような将来の日本像を視野に、多角的な検討を求める。



資料


秘密保護法 総務省HP
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0


守秘義務の法令解釈
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2135/1/A03890546-00-063030001.pdf