I me Mine

根暗なマイハートのネジを巻け!

母の涙


母を見舞って来た。


母が「右目が痛い」と言って涙した。


父は、息子が来て嬉しくて泣いている。
それを目が痛いと誤摩化している。


私は、そこまで複雑な感情ではないと思う。
乾燥しているので明日も同様なら目薬など対応して欲しいと伝えた。


母はまだ歩けないし、オムツも取れない。
しかし、徐々に回復している。


私が行くと、立ち上がってみせようとする。
妹が来たときは、ニコニコして姪っ子、甥っ子を「可愛いねえ」と笑った。


私はこう思った。
母は、我が子(私,妹)がどうしたら喜ぶか本能的に知っていて、
それをしているように思った。


母は統合失調症である。
そして昨年11月に脳出血して入院した。


それでも子が求めるものを返そうとしてくる。
母親なのだ。


私は、母親を見舞うとき、母が笑うと嬉しい。笑わないと心配になる。
母が大変なのに、まだ母親から愛情をもらおうと内心期待している自分が嫌いだ。


リハビリが進んで、今は介助つきで室内を歩いたり、ボール投げをしたりする。
塗り絵や、文字を書いたりしている。


たどたどしくやっているが、6か月先には大分よくなるだろう。


父の体も心配だ。
老老介護だからだ。毎日病院に通っている。
母が寒くないか、体は清潔かどうか気にして、服を着せ替えたり、体を拭いたりしている。


病院のスタッフに任せればいいのにと思う。
でも、私も母と接して「トイレに行きたい」「目が痛い」とか聞けば、対応してあげたくなるので、近くにいれば心配は尽きなくなるのは分かったけど。


今は父が母を看病する時間ではなく、母を自宅に受入れるときどうするかとか、プランを練るときなのだ。
母の毎日のことより、今後の長い介護生活に話を向けようと思うが、息子の自分にも責任が返ってくるので、なんだか口に出すからには自分の考えを持たねば無責任にも思って、言い出せず。。。
まあ、母がどこまで回復できるかにもかかっているんだし、父が毎日母を見て、リハビリの方法を見て学ぶことは今後のためでもあるので、しばらくは父は毎日病院に行くのだろう。


まあ、父、私、妹で母を見舞うと、母の表情が明るくなったりするので、家族が面会するもの無意味ではなさそうだと思う。
母は、車いすのシートベルトみたいな補助器具が嫌なようで、いつもそれを引っ張って取ろうとしている。それも筋力トレーニングになるだろうが、統合失調症に起因するのではと気になる。
リハビリでも「塗り絵をしてください」と言われて文字を書いたり、見た物の名前が言えなかったり、なんだか不確かなところもある。


父は、母親が安定したら、毎日行かなくてもいいように考えているらしいし、リハビリにいちいち立ち会ったり、トイレだ何だと看護師さんを煩わせてはいけないとも思っているらしい。
父は、母親のことで気を揉んでしまい、食事も喉を通らない日が続いていたらしい。
でも、それでは困るのだ。


年始は、私と妹とで、父に「自分の体調管理をしっかり」と話した。
妹は、健康に配慮した食材を大量に作り置きして、帰って行った。


毎日の病院通いが父の生活リズムになるならそれもいいだろう。
一歩一歩なるようになるさの精神だ。


妹の勧めもあり、父に医療保険に加入してもらうよう資料を渡してある。
父は「保険掛金がもったいたい。3年後に入る」
などとためらうので、つい説得してしまった。


「病気や入院してからでは保険に入れなくなる」
「蓄えがないのでイザというとき困る」
「宝くじは当たらないけど保険は絶対にもらえる」
「国民保険適用外の”先進医療”に最大2000万円出る」


本当は、こう切り出せばよかったかも。
「病気になって欲しくないけど、お父さんが病気になったら妹にも家族があるし、私も生活があるから医療保険に加入してもらえると安心だ」


「蓄えがない」などとプライドを傷つけるような言葉を使った自分の言語能力のなさに自己嫌悪した。


しかし、父も最後は「入院費用が1か月しか出ないんじゃ足りないよな」「保険掛金が年間いくらか?」「入院費用は何日分出るのか?」などと頭の中で勘定を始めた。おそらく、入院費用60日プランと120日プランの違いを理解したのだろう。
「検討する」と引き取ったので、また次回話し合おう。


そもそも、基本プランは、1回の入院で60日×5000円、最大1095日(ただし、退院後半年以内に再入院した場合は1回の入院とみなす=退院後半年を超えた時からまた60日分出る。)
退院後は通院に1日6000円。


それを今回の母の入院に当てはめると、急性期に1か月、リハビリに6か月入院だから、60日分つまり30万円はもらえるということ。
保険掛金は月8000円だから、年96000円。
この場合の損益分岐点は3年以内に入院するかどうか。


これって「お得」なのかどうか自分でも分からない。
でも、先進医療に2000万円出るのは安心材料だ。


まあ、保険掛金が「貯金」だと思ったらいい。
次は父にそう言ってみよう。




さて、冒頭の母の涙である。
それは、今の私にお付合いしている人がいて、幸せでいることを母親の本能で読み取って、それで安心して泣いたのかなあとか考えてみたり。


年始はこんな感じでした。